麻痺にも鍼灸治療が使われています
2017-05-08
麻痺という重い後遺症が残ってしまった方にも、鍼灸治療は効果的だということをご存知でしたでしょうか。最近では、脳卒中など脳血管疾患がもたらす後遺症に対するリハビリへの活用が少しずつ始まっています。ツボを刺激することによって脳梗塞によって失われた機能を補完する働きが促進されるのではないかと考えられています。
実際に、WHO(世界保健機関)は神経麻痺の治療として、鍼灸療法の有効性を認めています。
そこで今回は、鍼灸療法での麻痺の治療についてお話していきます。
・鍼灸治療のゴールは動くようにすること
麻痺の治療として広く知られているのは病院でのリハビリです。リハビリのゴールは日常生活を送れるようにすることですが、鍼灸治療の目的は麻痺している部位が動くようにすることです。
人間の身体は脳と密接にかかわっています。鍼灸によって神経のつながりを活性化させることで脳を刺激し、身体の動きを促すことを狙います。
後遺症による麻痺は、手足が動かないという問題に加えて、左右のバランスがとれないことによって、身体全体に疲労やストレスをためてしまうという問題も引き起こします。
治療を受ける方の後遺症の状態とその日の体調を見極めながら、体への負担や疲労、ストレスを鍼灸治療によって取り除き、病院でのリハビリをよい状態で継続出来る身体づくりのお手伝いもしています。それによって、回復のためのリハビリをより積極的に行えるので、より効果的なリハビリ成果が期待できます。
・自費での治療になります
麻痺の治療として、鍼灸療法の有効性がWHOで認められていると冒頭でお話ししましたが、残念ながら脳血管疾患後遺症で行う鍼灸は健康保険適用範囲外となってしまいます。そのため、自費サービスでの治療となります。単に病院だけに通うよりは費用がかかってしまいますが、鍼灸治療によって改善がみられる例も近年増えていますから、実際に治療の一つとして使っていただきたいと思っております。
いかがでしたでしょうか。
日本は先進欧米諸国に比べて鍼灸治療の医療への活用が遅れを取っています。日本の現状を見ると、鍼灸への偏見や無理解が残っていることもあり、治療手段として活用できていません。
ですが、近年になって鍼灸療法の導入はすこしずつ前進してきています。
まだ臨床段階ではありますが、鍼灸治療による後遺症回復の事例は積み重なってきており今後の発展が期待されています。
身体全体の健康を目指しながら後遺症を克服していきたい方は、ぜひリハビリに加えて鍼灸治療をとりいれてみてください。